企業が運営するWebサイトで、コラム記事やお役立ち情報を閲覧したことはありませんか?
これらはオウンドメディアと呼ばれ、コンテンツマーケティングの1つです。広告とは異なる方法で顧客獲得を目的としています。
ここでは、オウンドメディアについて、メリット・デメリットと成功事例を紹介します。
オウンドメディアとは?
オウンドメディアとは、企業が所有・運営し、ユーザーへ発信する媒体のことです。Webマーケティングが主流の現在では、自社サービスについての情報を伝えるWebサイトやブログを指すことが多いですが、自社発行の広報誌やパンフレットもオウンドメディアに含まれます。
オウンドメディアが注目されているのは、ユーザー目線の有益な情報を重視する「コンテンツマーケティング」が有効になってきたことが関係しています。
オウンドメディア運用の目的・効果
ビジネスとして企業が行うオウンドメディア運営には、次のような狙いがあります。
商品・サービスの知名度アップ
Google検索では、ユーザーに役立つ情報を掲載するサイトは価値が高いと判断され、上位に表示されます。
そのため、ユーザー目線の上質なオウンドメディアを制作・公開することでアクセスが集まり、商品や企業そのものを多くの人に知ってもらうことが可能です。
最近は、広告に拒否感を持つユーザーも増えています。広告出稿に加えてオウンドメディアも持つことで、潜在顧客にアピールするチャンスも増えます。
ファン・リピーター獲得
商品への想いや開発秘話といったコンテンツを公開することで、既存顧客からの愛着をより強め、強固なリピーターにします。
お役立ちコンテンツからの流入は、商品に関心のないユーザーのアクセスも多いです。しかし、コンテンツ内容に興味を持つことで運営企業への信頼が高まり、将来的に購入・利用につながる可能性があります。
流入~購入までの流れ
自社メディアへの流入経路をまとめると、次のようになります。
- ユーザーに役立つサイトを制作し、検索結果に上位表示され、多くのユーザーがアクセスします。
- 良質なコンテンツを読んだユーザーが、商品や運営会社に興味を持ちます。
- 信頼できる企業と判断したユーザーは、商品を購入・利用します。
良質な情報をていねいに発信していると、「良いコンテンツを発信する信頼できる会社」というイメージが、ユーザーの印象に残ります。その結果、購入につながるケースがあるということです。
集客アップ!トリプルメディアを活用したマーケティング
マーケティングには、ユーザーへ接触するための3つの手段(トリプルメディア)があり、オウンドメディアもこの中の1つです。
トリプルメディアには次のようにそれぞれ得意・不得意な部分があり、3つを併用し長所を活かすことで、大きな集客効果を発揮します。
ペイドメディア(Paid Media)
大手ポータルサイト・検索エンジン広告など、費用を払い、出稿する広告のことです。
- 不特定多数の新規顧客へ即効アプローチできる
- オウンドメディアやアーンドメディアへ送客できる
- 広告費がかかる
- ユーザーと直接コミュニケーションしにくい
アーンドメディア(Earned Media)
Twitter・FacebookなどのSNS、他者運営のブログやキュレーションサイトのことです。
- 費用がかからない
- ユーザーと直接コミュニケーションしやすい
- オウンドメディアの情報を拡散できる
- 投稿内容や表示を自由に操作できない
オウンドメディア(owned media)
企業自身が管理する、自社メディアやブログのことです。
- 自由に制作できる
- 潜在顧客・既存顧客へアプローチできる
- 新規顧客へアプローチしにくい
オウンドメディアのメリット
企業がオウンドメディアを運用するメリットについて解説します。
自由に制作・管理できる
サイトのテーマから内容・デザイン・目立たせる情報まで、すべて自由に決められます。例えば、会員登録機能をつければ、Webマーケティングで有利な顧客情報を取得できるなど、幅広い設計が可能です。
また、SNSなどアーンドメディアのように、口コミを書かれたり、他の投稿に埋もれたりすることもありません。自社のアピールが存分にでき、スタッフのスキルアップにもつながります。
広告費はかからない
広告掲載(ペイドメディア)は、費用をかけて掲載し続ける必要があります。しかしオウンドメディアにかかるコストは、人件費やサーバ費のみです。
さらに、いちどアップしたコンテンツは、永続的にWebへ掲載されます。ユーザーを呼び込むメディアを、コストをかけず持ち続けられるため、集客効果を継続できます。
コンテンツを資産にできる
いつでも誰でもアクセスできるメディアは、企業の資産として残ります。様々なPR活動にも活用が可能です。
さらに、人材採用でもミスマッチが減り、理念に共感したスタッフを獲得しやすくなる効果もあります。
オウンドメディアのデメリット
反対にオウンドメディアを運用する上で、注意することやデメリットは以下のとおりです。
良質なメディアにする必要がある
興味をひき、読み応えのある内容が充実したサイトでないと、ユーザーは満足しません。自社の主張や宣伝だけのサイトや、わかりにくいサイトなども、アクセスは集まらないでしょう。片手間の作業では、中途半端になることも多いです。
Webに強くない企業の場合、コンセプトから設計・更新まですべて自社で行うのは難しい場合もあります。外注する方法もありますが、外注先の選定や目標設定が必要です。
売上にすぐには反映されない
コンテンツをコツコツ増やし、時間をかけてサイトへのアクセスを集める必要があります。また、サイトを気に入ったユーザーが購買行動を起こす確率やタイミングの予測は難しいです。
オウンドメディアは利益に即つながるものではなく、企業の認知度を上げ、長期的資産として積み上げていくものです。
オウンドメディアの成功事例
オウンドメディアの成功事例を、BtoB、BtoCのタイプ別に紹介します。
BtoB:「経営ハッカー」(クラウド会計ソフトfreee)
経営者向けの経理情報を発信するサイトです。経理や経営に役立つ無料ガイド集が目につく位置に配置され、わかりやすいイラストを使った記事があるなど、リピーターを増やす工夫がしっかりされています。
URL:https://keiei.freee.co.jp/
BtoC: 「健康美塾」(第一三共ヘルスケア株式会社)
日常のささいな悩みや気になることについて、きれいな写真やイラストを使って解説する、女性向けのデザインがきれいなサイトです。
人気コラムニストや美容専門家による記事は読み応えがあります。メールマガジン登録の導線が、不快にならない位置にさりげなく設置されているのも好感が持てます。
URL:http://www.daiichisankyo-hc.co.jp/kenko-bijuku/
まとめ
オウンドメディアについて解説しました。スマートフォンで知りたいことをすぐに調べられるようになった今、オウンドメディアでお役立ち情報を発信し、ユーザーを惹き込むマーケティングは大きな可能性を秘めています。
広告を出すだけではなく、資産にもなるオウンドメディアの運営は、企業にとって大きな価値があります。手間はかかりますが、時間をかけて作り上げていくと、様々な用途にも活用できるサイトが出来上がるでしょう。