クラウドは、ネット上でさまざまな情報を保管したり、共有したりできる便利なサービスです。これは大きく3種類に分類でき、それぞれ特徴や用途が違うことをご存知ですか?
クラウドを導入する際に知っておきたい、基本的な知識や用途別の選び方について、分かりやすく解説していきます。困ったときの参考にしてください。
クラウドサービスとはなに?
クラウドサービスとは、ネット上の仮想空間「クラウド」にデータを保存、共有できるサービスです。クラウドには、ブラウザからアクセス可能なものと、アプリをインストールするものがあります。
たとえば、以下のように自宅からクラウドにログインし、データを保存するとしましょう。
その後、外出先で別のパソコンからクラウドにログインします。そうすることで、外出前に保存したデータを出先から確認、ダウンロードできるというわけです。スマホやタブレットからも利用できます。
この際、データを共有可能な設定にしておけば、別のユーザーもそのデータにアクセス可能です。もちろん、このユーザーもスマホやタブレットなどほかの端末で操作・閲覧できます。
クラウドサービスの種類とその特徴
記事の冒頭で述べたように、クラウドサービスには「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3タイプあります。クラウドで提供する機能は、それぞれつぎの図のとおりです。この3タイプについて解説していきます。
SaaS(Software as a Service/サース)
インターネット上で電子メール、顧客・財務管理といった「ソフトウェアを提供する」サービスです。かつてASP(Application Service Provider)と呼ばれていました。ソフトウェアのインストールやアップデートなど運用、保守面はサービス提供元が実施するため、手間は不要です。
SaaS型サービスの特徴
- インターネット上にデータを保存できる
- 同一データを複数のユーザーが共有・編集できる
- ストレージサービスもSaaSの一種
おもなSaaS型サービス
- Google Apps
- Office 365
- 乗り換え案内
PaaS(Platform as a Service/パース)
SaaSで提供されるソフトウェアの「開発環境を提供する」サービスです。サーバーやOSなどを開発するための機能一式を利用できます。決まったシステム設計に沿って開発をおこなえるため、スムーズに作業でき、コストも削減可能です。
PaaS型サービスの特徴
- ソフトウェアごとに開発環境を構築する手間が不要
- あらゆるコンピューター言語に対応している
- IaaSと比べて各種設定にかかる手間が少ない
おもなPaaS型サービス
- Microsoft Azure
- Google Cloud Platform
- Amazon Web Services(AWS)
IaaS(Infrastructure as a Service/イアース)
ネット上でサーバーやOS、記憶装置やネットワーク機器など「インフラを提供する」サービスです。PaaSと同様の機能一式を利用できますが、仮想サーバーの選定、データベース構築など、すべてユーザーで設定する必要があります。
IaaS型サービスの特徴
- HaaS(Hardware as a Service)とも呼ばれる
- 提供範囲としてはホスティングサービスに近い
- 自由にカスタマイズできる代わりにシステムの運用、保守が厄介
おもなIaaS型サービス
- Google Compute Engine
- Amazon Elastic Compute Cloud
- Bluemix IaaS
このほか、モバイルアプリの開発・運用に必要な機能を提供する「BaaS(Backend as a Service)」や「mBaaS」があります。
クラウドサービスの選び方
前項で解説したように、それぞれ3つには異なる特徴があります。まず、SaaSは提供している機能がもっとも充実しています。そのため、開発の知識がない方やすぐに使いたい機能があるときに適しています。
開発環境が必要な場合は、PaaSもしくはIaaSを選ぶことになるでしょう。カンタンにいうと、面倒がないのはPaaSです。ただ、IaaSは設定などに少し手間がかかる代わりに、カスタマイズ性に優れます。つまり上級者向けです。
SaaS・PaaS・IaaSは、それぞれサービスが多数あります。サービスごとに利用できる機能や値段も変わってくるので、まずは必要な機能があるものをいくつかピックアップして、試用で比較するのがオススメです。そうすれば最適なサービスが見つかることでしょう。
まとめ
利用するサービスを決定したあとは、セキュリティ面にも注意して適切な利用を心がけてください。