見込み客への定期的なメール配信は、オウンドメディアやECサイトなどを運営する企業にとって、欠かせない施策です。
重要な施策ですが、これらをすべて人力でおこなうとなると、大量送信やリストの管理に多くの時間や手間がかかり、ミスも生じかねません。
このような業務を効率化し、負担を軽減してくれるのがメール配信システムです。
この記事では、メール配信システムの概要と導入メリットなどについて解説していきます。
メール配信システムとは
メール配信システムとは、大量のメールを自動で一斉送信することに特化したシステムです。MTA(メール転送エージェント)とも呼ばれます。
たとえば、メールマガジン購読者に対する定期的なメール配信、営業やキャンペーンの告知など、おもに企業のメール配信業務に使われます。
手動でも複数人を指定してメールを送信することはできますが、短時間で大量のメールを一斉送信すると迷惑メール送信者と認定され、メールが不達になりやすいです。
その点、メール配信システムは独自のノウハウを使ってメールの到達率を高めることができ、また配信を手動でおこなう手間も必要ないため、効率よくメール配信が可能になります。
メール配信システムの主な機能
多くのメール配信システムに、以下のような機能が搭載されています。それぞれの機能について解説いたします。
一斉送信
大量のメールをスピーディーに、自動で一斉送信できる機能です。
配信日時を指定、もしくはスケジュールを設定してそのとおりに定期配信したり、特定のカテゴリーに振り分けた相手にのみ送信したり、細かい設定もできます。
メール配信システムによってはステップメールやシナリオメールなどの機能も利用できるため、メールでのマーケティングを強化したい場合に最適です。
手動でメールを送信すると、BCCとCCを間違えたり、送信先を誤ったりすることでの情報漏えいがリスクがありますが、メール配信システムであればこのような間違いは起こりません。
HTMLメールの作成
メール本文に文字の装飾や動画、画像を差し込めるHTMLメールは、文章のみのメールよりも視覚的な訴求ができ、見てもらいやすくなります。
メール配信システムには、ドラッグ&ドロップの感覚的な操作でHTMLメールを作成できるエディター機能の搭載されているものや、テンプレートの用意されているものもあり、HTMLの知識がなくてもカンタンに見栄えのよいメールを作成できます。
効果測定
メール配信システムを導入すると、つぎのような数字をグラフで確認できます。
- 到達率:配信したメールが相手に届いた割合
- 開封率:配信したメールが開封された割合
- クリック率:メール本文のURLがクリックされた割合
メールが届いたかどうか知ることができるだけでなく、過去のデータと比較してなにを改善すべきか、また内容を変更した結果の効果測定などに活用できます。
メール配信システムの種類
メール配信システムには「オンプレミス型」と「クラウド型」があり、それぞれ費用面や機能性、セキュリティ性などが異なります。
これらの特徴とメリット・デメリットをご紹介します。
オンプレミス型
オンプレミス型とは、自社でシステムを構築するタイプです。プログラムだけCGIで作成してサーバーで動かすもの、ソフトを購入してパソコンにインストールするものもあります。
そのためゼロからシステムを構築する必要があるため、利用開始までに時間がかかります。しかし、カスタマイズ性が高いため、必要な機能を搭載でき、自社に最適なシステムを構築できます。
- 自社ネットワークを使用するため、セキュリティ性が高い
- カスタマイズ性が高く、自社に最適な専用システムを構築できる
- 必要な基幹システムやCRMなどと連携させられる
- 自社にメールサーバを設置する必要があり、初期コストが発生する
- ゼロから自社用のシステムを構築するため、すぐに利用できない
クラウド型
インターネットを介し、ベンダーのメールサーバーを経由して利用するタイプです。インターネット環境があればパソコン、スマホからどこでもアクセスできます。
一般的に月額・年額制のサブスクリプション契約となっており、導入にかかる費用はサーバーやシステム構築の必要なオンプレミスよりも安く抑えられます。
- インターネット環境があれば場所を選ばずに利用できる
- 自社にメールサーバを設置しないため、初期コストがかからない
- システム構築の必要がないため、申し込み後にすぐ利用できる
- プランやメールの送信数により費用が割高になる場合がある
- サービスによってはセキュリティ面でリスクがある
メール配信システム導入のメリット
では、メール配信システムを導入するとどのようなメリットがあるのかをご紹介いたします。
効果測定できる
メール配信システムは、前述のようにメールの開封率やURLのクリック率などのデータを確認できます。
より効果的にメールでのマーケティングをおこなうには、メールがきちんと届き、読まれているのかを都度確認することも重要です。
開封率やクリック率は、配信のタイミングやタイトル、文言などで左右されるため、変更して効果測定をおこない、反応を確かめながら改善に活かせます。
HTMLメールの作成が簡単
通常、手動でHTMLメールを作成するにはHTMLの知識が必要で、また1からデザインを考えるとなると作成にもかなりの時間がかかります。
その点、メール配信システムにはHTMLメールをカンタンに作成できる専用エディタのあるものや、テンプレートのあるものもあるため、知識や多くの時間をかけることなく、視覚的に優れたメールを作成できます。
ユーザーに合わせたメールを配信できる
メールは不特定多数に宛てた内容より、各ユーザーの趣味や行動の傾向にあわせてパーソナライズ化した内容のほうがよく読まれ、コンバージョンにもつながりやすいです。
メール配信システムであれば、送信先のユーザーを細かな属性ごとにリスト化し、メールの内容や配信のタイミングを振り分けて送信できるため、効果的にマーケティングをおこなえます。
業務の効率化
メールを手動で一斉送信するとなると、文章の作成や送信先のリスト確認、送信時もアドレスをいちいちBCCで指定して送信するなど、かなりの時間と手間がかかります。
場合によっては配信停止の依頼が来て、それを除外して送信しなくてはならないなどの作業も発生します。
その点、メール配信システムであればリストの管理や送信先の指定、配信停止時の対応までほぼすべて自動化されるため、業務を大幅に効率化し、担当者はメールの作成に注力できます。
セキュリティ対策
手動でのメール配信は、BCCを誤ってCCに設定して送信したり、送信相手を間違えてしまったりなどの情報漏えい事故が実際に発生しています。
メール配信システムでリストを作成し、ステップメールを登録しておけば、このような事故を防ぐことができ、配信のし忘れもありません。
多くの作業を自動化できるため、ヒューマンエラーを防ぎ、結果的に情報漏えいの防止につながります。
メール配信システムの注意点
メール配信システムは導入したからといって、メール配信に関わる全ての問題が解決するわけではありません。注意点についてもご紹介いたします。
読まれるとは限らない
メール配信システムでメール配信をおこなったところで、受信した相手がそれを確実に読むとは限りません。ポストに届く手紙をすべて開封するとは限らないのと同じことです。
メール配信システムを活用してメールの開封率やURLクリック率を確認し、どのようなメールは反応がよかったか、どう改善すればよいかを検討して読まれるように改善していく必要があります。
なかにはメールの開封率を上げるためのメール作成ガイドのついているシステムもあるため、これを活用するのもよいでしょう。
設定が複雑
メール配信システムによっては、メール配信の日時や相手の絞り込み、配信後の分析など、細かく設定をおこなえるものもあります。
使いこなせればマーケティングにも大いに役立ちますが、設定が多すぎると結局面倒になり、通常のメールを送信するだけのツールになってしまう場合もあります。
多くの機能がありながら、メール送信にしか使わないのはもったいないため、マニュアルやサポートも活用して自社の課題解決に役立てられるよう、最適な設定にしてみてください。
迷惑メールに振り分けられる可能性がある
メールを一斉送信すると、受信側の環境によっては迷惑メールの送信元と認定され、迷惑メールフォルダに振り分けられたり、届かなくなったりする場合があります。
一度迷惑メールの送信元と認定されれば、今後も迷惑メールと判断されやすいため、詐欺のようなタイトル、短時間での大量送信などは控えたほうがよいでしょう。
メール配信システムによっては、迷惑メールと判断されないよう分散して送信するなど対策を講じているものもあるため、このようなサービスを選ぶと安心です。
まとめ
メール配信システムを導入することで、担当者の負担を削減するだけでなく、お客様に商品やサービスへの認知度を高めることができます。
導入に関しては注意点を考慮する必要がありますが、解決したい自社の課題や魅力に感じる的な点がある場合、導入を検討されてみてはいかがでしょうか。