従来のマーケテイングは、新聞広告やテレビCMなど不特定多数のターゲットに対し、企業側が一方的に宣伝をおこなうものが主流でした。
しかし、最近はインバウンドマーケティングが広まり、多くの企業に取り入れています。
この記事では、インバウンドマーケティングとはなにか、その概要や手法などまとめて解説します。
インバウンドマーケティングとは
特定のサービス、商品に興味をもっているユーザーに対し、自身で関連情報を見つけてもらうに促すマーケテイング手法です。
具体的には、関心の高いユーザーに対して有益な情報提供をおこなうブログやメルマガの配信、閲覧履歴をもとにリターゲティング型広告を表示する、などがこれにあたります。
インバウンドマーケティングが広まった背景
インバウンドマーケティングとは、マーケティング支援ソフト開発・販売をおこなうHubSpot社の創立者、ブライアン・ハリガンとダーメッシュ・シャアが提唱した概念です。
テレビCMだけでなく、最近はインターネットでもさまざまな場所で広告が配信され、過剰に煽るものも少なくないなか、消費者は嫌悪感を抱くようになってきています。
そんななか、インターネットの普及により、商品やサービスを検討する人の多くが、自分で類似商品との比較や口コミなど情報収集をおこない、購入を決定するようになりました。
このため、一方的な宣伝ではなく情報を見つけてもらうような、従来と異なるマーケティング手法として注目され、広まっていきました。
アウトバウンドマーケティングとの違い
アウトバウンドマーケティングとは、不特定多数のターゲットに対して一方的に宣伝をおこなう、従来のマーケティングのことです。
その点、インバウンドマーケティングは特定のターゲットに対して、求めているような情報を提供し、それを見つけてもらうという手法です。
このように、ターゲットや宣伝の手法などが大きく異なります。
インバウンドマーケティングの手法
インバウンドマーケティングの手法は、大きく分類すると4つのステージがあります。それぞれの施策について紹介します。
Attract(惹きつける)
最初のステージでは、多くの潜在顧客を惹きつける有益なコンテンツを適切なチャネル、タイミングで提供し、訪問するように促します。
具体的な手法としては、潜在顧客の検索しそうなキーワードでの情報や課題解決のヒントとなるコンテンツを作成し、検索サイトから訪問してもらうなどが挙げられます。
Convert(見込客に育成する)
潜在顧客に訪問してもらったら、見込み顧客(リード)になってもらうために購買意欲を育成していきます。これをリードナーチャリングといいます。
見込み顧客になってもらうには、たとえばより有益な情報をまとめたホワイトペーパーを配布し、ダウンロードと引き換えに個人情報を入力してもらう方法があります。
Close(顧客化する)
見込み顧客のサイト閲覧や行動履歴などをもとに、メルマガやブログなどを使い、適切なタイミングで興味を引く情報を発信し続け、さらに購買意欲を高めていきます。
この際、マーケティングオートメーションツールを使うと、見込み顧客の行動追跡やリストの管理、アプローチすべき相手を抽出するのに便利です。
Delight(満足させる)
顧客に対して継続的なサポートをおこない、顧客満足度の向上を図ります。
これにより、商品やサービスを継続的に購入してもらったり、SNSなどでよい口コミを広めてもらい、ほかのファンを増やしたりする効果に期待できます。
インバウンドマーケティングのメリット
つづいて、インバウンドマーケティングのメリットといえる部分について紹介します。
顧客との関係を築ける
前述のように、近年の消費者は一方的な広告を鬱陶しく感じ、内容次第では企業そのものに悪印象を抱かれてしまう可能性もあります。
その点、インバウンドマーケティングはターゲットに対して有益な情報を提供し、呼び込むというものなので、好印象や信頼感をもってもらい、良好な関係を築きやすいです。
コスト削減
不特定多数のターゲットに対し、さまざまな場所で一方的な広告を大量配信し続けるのは効率が悪く、当然大きなコストがかかってしまいます。
しかし、インバウンドマーケティングは特定のターゲットに絞り込んで呼び込むものなので、ムダに広告費をかける必要がありません。
また、アメリカの調査結果ではありますが、リード獲得単価は従来のマーケティング手法より62%も低いともいわれています。
SNSでの拡散
有益な情報を発信し続けていれば、コンテンツが評価されSNSなどで拡散されるようになり、より多くの人が注目してくれる可能性にも期待できます。
第三者の口コミや評判は消費者にとって信頼できる情報のため、SNSで拡散されることはサイトのアクセス増加だけでなく、売り上げのアップにもつながりやすいです。
インバウンドマーケティングのデメリット
反対に、デメリットといえる部分についても紹介します。
費用対効果が不透明
インターネット上で広告を出稿した場合、それ以降サイトに何件のアクセス、成果が発生したか、などの数値をレポートなどで確認でき、計測しやすいです。
しかし、インバウンドマーケティングは見込み顧客に自発的に知ってもらう形式のため、どれだけの予算でどれだけ売り上げにつながるか、予測が困難といえます。
成果が出るまでに時間を要する
見込み顧客に見つけてもらうためには、有益なコンテンツを発信し続け、徐々にアクセスを増やし続けて認知を高めていく必要があります。
そのため、即効性のある手法とはいえず、成果が出るまでは想定以上に時間がかかってしまう場合もあるでしょう。
まとめ
このように、インバウンドマーケティングは、自分で情報収集をおこなうのが当たり前の時代になったからこそ生まれた、新たなマーケティング手法です。
これまで通りの販促活動をおこなってもあまり効果が得られていない、新たな顧客を開拓したいという場合に、活用してみてはいかがでしょうか。