SEO対策は、検索エンジンにおいて特定のキーワードで検索した際にサイトを上位表示させる施策のことですが、その手法のひとつに「ブラックSEO」があります。
ブラックSEOはひと昔前によく使われていましたが、現在はこの手法を使うことにリスクを伴うため、使われなくなりました。
今回は、ブラックハットSEOについて解説します。
ブラックハットSEOとは
ブラックハットSEOとは、その名のとおりブラックな手法によるSEO施策のことです。
検索エンジンのアルゴリズムの抜け穴を悪用し、情報量が少なく質の低いサイトを使うなどあまり手間をかけず、比較的容易に上位表示できるため、かつてはよく使われていました。
しかし、Googleのウェブマスター向けガイドラインに違反する方法で不正に上位表示させようとするものであり、違反行為のためペナルティ措置を受けるリスクがあります。
ホワイトハットSEOとの違い
ブラックハットSEOに対して、ホワイトハットSEOと呼ばれるSEO施策もあります。
これは、Googleのウェブマスター向けガイドラインに準拠し、正規のホワイトな手段を用いて上位表示を目指す方法を指します。
Googleは、自社のサイト上で以下のような検索エンジンを目指していると明言しています。
完璧な検索エンジンとは、ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにぴったり一致する答えを返すものである
引用:Google – 有益な情報を最適な形式で
つまりホワイトハットSEOはこれに則り、ユーザーの検索ニーズに一致するコンテンツを作成し、Googleの評価を高めていくという施策です。
そのため、ブラックハットSEOより手間はかかりますが、正規の方法のためペナルティのリスクもなく、一度上位に表示されれば比較的安定した順位、アクセスを獲得できるようになります。
近年、ブラックハットSEOの手法が通用しなくなってきているため、ホワイトハットSEOがSEO対策の主流となっています。
ブラックハットSEOの手法
ブラックハットSEOは具体的にどのようにおこなわれるのか、よくある手法をご紹介いたします。
被リンクの大量設置(有料リンク・相互リンク)
Googleはかつて、よいサイトほど多くの被リンクを獲得するものであるという基準により、被リンクの多いサイトほど高く評価し、順位を上位につけていました。
というのも、Googleのアルゴリズムはプログラムであり、人間の目線でサイトの質を評価することが難しかったためです。
これにより、つぎのような方法で被リンクを大量に設置するサイトが多くありました。
- 自作自演で被リンクを大量に貼る
- 相互リンクサイト(リンクファーム)を利用する
- 有料で被リンクを購入する
- コメントやトラックバック機能のあるサイトに被リンクとなるように投稿する
ワードサラダ
ワードサラダとは、対策したいキーワードなどを大量に詰め込んだだけの、話がつながらない無意味な言葉を羅列したもののことです。
サイトの文章を増やして多くの言葉を詰め込み、さまざまなキーワードで上位表示を狙う目的でおこなわれます。文章はツールによる自動生成などを用いたものが多いです。
コピーコンテンツ
コピーコンテンツとは、他者が作成して公開している文章やレイアウトなどをコピーし、掲載したコンテンツのことです。
サイトの文章量を増やす目的でおこなわれますが、まるごとコピーしたものや語尾だけを変えたものは、Googleによりコンテンツの重複とみなされペナルティ対象になります。
隠しテキストと隠しリンク
隠しテキストや隠しリンクとは、検索エンジンには認識できてユーザーには気づかせないようなテキストやリンクを掲載することです。
具体的な方法として、Googleはつぎのようなものをガイドライン違反とみなし、ペナルティ対象になります。
- 白の背景で白のテキストを使用する
- テキストを画像の背後に置く
- CSS を使用してテキストを画面の外に配置する
- フォントサイズを 0 に設定する
- 小さな 1 文字(段落中のハイフンなど)のみをリンクにしてリンクを隠す
クローキング
クローキングとは、人間であるユーザーがアクセスした際と検索エンジンとで、それぞれ異なるコンテンツやURLを表示することです。
クローキングにはつぎのようなものがあり、いずれもGoogleのガイドライン違反になります。
- 検索エンジンには HTML テキストのページを表示し、人間のユーザーには画像のページを表示する
- ページをリクエストしたユーザー エージェントが人間のユーザーではなく検索エンジンである場合にのみ、ページにテキストやキーワードを挿入する
キーワードの乱用(キーワードスタッフィング)
上位表示したいキーワードを乱用し、何度も羅列したり自然ではない文章を掲載したりすることも、キーワードスタッフィングと呼ばれるブラックハットSEOの手法のひとつです。
例としてはつぎのようなものが挙げられます。
- 実質的な付加価値のない電話番号の羅列
- ウェブページが特定の市町村や都道府県に関する検索結果の上位に掲載されるようにするために市町村名や都道府県名を羅列したテキストのブロック
- 同じ単語や語句を不自然に感じられるほどに繰り返すこと
不正なリダイレクト
リダイレクトとは、サイトにアクセスしようとしたユーザーを、別のURLに遷移させることです。
通常、リダイレクトはサイトを新しいURLに移転した場合や、複数のコンテンツをひとつに統合したときなどに、新たなURLへ誘導するため使われるべきものです。
しかし、検索エンジンを欺く目的で、人間のユーザーと検索エンジンと異なるコンテンツを表示するため、不正にリダイレクトを設定する行為もGoogleのガイドライン違反になります。
不正なリダイレクトの例としては、つぎのようなものが挙げられます。
- 検索エンジンには 1 つのコンテンツ タイプが表示されるが、ユーザーはまったく違うコンテンツにリダイレクトされる
- PC ユーザーには通常のページが表示されるが、モバイル ユーザーはまったく別のスパムドメインにリダイレクトされる
ブラックハットSEOのリスク
ブラックハットSEOの手法は、少ない手間でサイトを上位表示させられる可能性もありますが、非常に大きなリスクを伴います。
というのも、ブラックハットSEOで使われる手法はすべてGoogleのガイドライン違反の行為であり、発覚次第、Googleによるペナルティの措置対象になるためです。
このような措置を受けると、サイトの順位が圏外になったり、インデックス(検索エンジンの収集したデータを蓄積するデータベース)から削除され、検索しても表示されなくなったりします。
サイトが上位表示できない、もしくは表示されなくなれば当然アクセスが激減し、収益も大幅に減少してしまうでしょう。
さらに、検索エンジンのアルゴリズムは日々進化しており、不正を発見する精度も非常に高くなっているため、ブラックハットSEOで一時的に上位表示できても、すぐに順位が急降下する可能性が高いです。
そのため、ホワイトハットSEOよりも楽で、比較的容易に上位表示できる可能性があるからといって、ブラックハットSEOを使うことはおすすめできません。
ブラックハットSEOの衰退
前述のように、ブラックハットSEOはその行為が発覚次第ペナルティを受ける可能性があり、現在このような方法でSEO対策をしている人も業者もほとんどいません。
2010年代の初頭までは、ブラックハットSEOの手法でサイトを比較的容易に上位表示させられましたが、あるときから通用しなくなり、衰退していきました。
その大きな契機となったのが、Googleによる「ペンギンアップデート」「パンダアップデート」でした。詳しく解説していきます。
ペンギンアップデートとパンダアップデートによる対抗措置
Googleは2012年に「ペンギンアップデート」、「パンダアップデート」と呼ばれる、検索エンジンアルゴリズムの大幅な刷新をおこないました。
このように、検索エンジンが低品質なリンクやコンテンツを判断できるようになった結果、ブラックハットSEOで順位操作されていたサイトが軒並み順位下落、もしくは非表示になりました。
キュレーションサイト問題を発端としたアルゴリズムのアップデート
上記の2大アップデートからしばらくして、「まとめサイト」とも呼ばれるキュレーションメディアが乱立し、多様なキーワードで上位表示されるようになりました。
しかし、キュレーションメディアは他サイトの文章をつぎはぎで作成した記事や、専門家の監修がない無責任な情報を掲載する記事も多く、著作権や医療・倫理面でも問題となりました。
そのため、低品質で信憑性の低い情報を掲載するおそれのあるキュレーションサイトを一掃するため、2017年2月と12月にアルゴリズムのアップデートが実施されました。
これにより、医療従事者や医療機関、専門家の公開するコンテンツが上位表示されるようになり、多くのキュレーションメディアが運営方針の変更やサービス終了に追い込まれました。
まとめ
ブラックハットSEOはかつて使われていたSEO対策の手法ですが、Googleの検索エンジンの進化により、現在はほとんど使われていません。
たとえ、ご紹介したような手法で上位表示されたとしても、ごく一時的なもので、確実にGoogle側からスパム行為と判断されてペナルティ措置を受けてしまうでしょう。
現在のSEO対策の主流はホワイトハットSEOです。サイトを上位表示させたいときは、良質なオリジナルコンテンツを量産し、地道に検索エンジンからの評価を上げていくよう施策することをおすすめします。