動画の広告がパソコンやスマートフォンに表示され、思わず手を止めて見てしまったことはありませんか?
最近見かけることの多い動画広告は、「動画マーケティング」と呼ばれるものです。商品・サービスの映像を制作会社が企画・制作し、企業が配信することで、集客やブランディングを行います。
ここでは、動画マーケティングの具体的な効果やメリット、成功事例について紹介します。
動画マーケティングとは?
動画マーケティングとは、「動画を活用したWebマーケティング」のことです。
インターネットでの集客・販促活動であるWebマーケティングには、コンテンツマーケティング・SNSマーケティングなどの種類があり、動画マーケティングもその1つです。
今までは、文章+静止画の広告がほとんどでした。しかし、近年はPCやスマートフォンの高性能化が進み、若者からお年寄りまで、You Tubeで動画を閲覧するのが当たり前になっています。動画マーケティングには、大きく分けて次の2タイプがあります。
動画広告の配信
Webサイトに表示される「動画広告」は、ターゲット層へアプローチできる動画マーケティングのポピュラーな手法で、次の4タイプがあります。
- TrueView広告
- You Tubeなど、動画コンテンツの合間に表示されるものです。
- インリード広告
- Web記事の途中に表示されるもので、記事に関連するものほど視聴されます。
- インフィード広告
- SNSの投稿の合間に表示されるもので、投稿と間違われることもあります。
- インバナー広告
- バナー広告枠に表示されるものです。
動画コンテンツの配信
ユーザーに役立ったり、楽しんだりしてもらう動画をサイトにアップし、検索などからのアクセスを狙うものです。ファン獲得や、ブランディング効果があります。
動画マーケティング3つのメリット・効果
動画マーケティングには、次のようなメリット・効果があります。
わかりやすく、印象に残る
動画では、商品を実際に使う様子を、リアルイメージできます。文章や静止画よりも、動画のほうが商品・サービスの魅力や情報を、誰が見てもわかるように伝えられます。
また、動くものは視覚と聴覚を刺激し、人をひきつけます。つい動画広告に目が行き、その商品のことが記憶に残りやすくなります。
インパクトある演出で個性を出し、ライバル商品との差別化や、企業イメージのリニューアルにも効果的です。子どもや高齢者・外国人など、言葉の壁を超えて伝えることが可能です。
コンバージョン率が上がる
動画でスムーズに商品理解をしたユーザーは、「使ってみたい」「欲しい」と購買意欲が湧き、コンバージョン率(購入・申込・問い合わせ)が上がりやすくなります。文字だけでは特徴を伝えにくい商品には、特に効果的です。
経済産業省が2016年に公開した「ソーシャルメディア活用ベストプラクティス」では、動画マーケティングで注文増につながった例が紹介されています。
トヤマかばん店は、「ランドセルの選び方を解説する動画」をECサイト内で再生できるようにしたところ、全国から注文が入るようになり、ランドセル1000個超の予約完売時期が年々早まる効果が出ています。
サイトへの動画のアップは、ユーザーに役立つ良質なコンテンツの充実にもつながります。そのためSEOにも効果的で、検索上位に表示されることで、より多くの人に拡販できます。
さらに、SNSでシェアされれば、宣伝効果がどんどん広まります。
ターゲティング・解析がしやすい
狙ったターゲット層へアプローチでき、その効果を測定ツールで解析できるので、改善し効果を上げていけます。
例えば、テレビCMとは違い、Web動画では性別・年齢・地域・趣味など、見せたいユーザーを絞って表示させられます。そのため、ターゲットに刺さる動画をピンポイントで届けることが可能です。
その結果、どのくらいの人が商品ページへ移動し、購入したのか分析・改善します。リマーケティングリストの収集により、購入しなかったユーザーへの再PRも可能です。
動画マーケティングのデメリットと課題
一方、動画マーケティングには次のような課題もあります。
- 良質な動画を作る必要がある
- 通信制限がある場合は見てもらえない
低質な動画や、強制的に再生されてジャマな場合、マイナスイメージを持たれる可能性があります。
動画が与える影響が大きいということは、悪い印象を持たれたときの影響も大きいです。完成した動画の修正は難しいので、慎重に制作する必要があります。
今、動画マーケティングが注目される理由
動画マーケティングの注目度は年々上がっており、参入企業はどんどん増えるでしょう。動画マーケティングが注目される理由を紹介します。
いつどこでも動画を見られるようになった
スマートフォンやタブレット端末などのモバイルデバイスを大勢の人が持ち、Wi-Fiなどネットワーク環境のインフラが整ったことで、いつどこでも動画を閲覧できるようになりました。
そのため、動画を見る機会が増え、動画マーケティングへの期待が高まっています。
2015年に株式会社サイバーエージェントが行った「動画メディアの接触状況」の調査では、10代の「スマートフォンからのオンライン動画接触率が80%」と、テレビを追い越す勢いでスマートフォン動画を見る若年層が増えていることがわかります。
ここで重要なのが、若いときに見ていたメディアは、その後も見続ける傾向があるという点です。そのため、動画市場は今後も成長し続けるでしょう。
(出典:10代におけるスマートフォン動画の接触率は80%でテレビと拮抗 50歳未満の半数以上がPC動画を視聴)
動画制作が手軽になった
小型の撮影機材や、かんたんに使える映像編集ツール・アプリがたくさん登場したため、高品質な動画制作を自社でできるようになりました。低コストで制作を頼める制作会社も増えています。
動画制作やマーケティング方法についても、ネットでたくさん公開されています。そのため、動画を作ってマーケティングに活用しようとする企業が増え、注目が集まっているのです。
動画の活用パターン3つ
動画マーケティングの目的は、商品・サービスの宣伝だけではありません。動画のパターンにより、次のような効果も生み出します。
集客・SEO動画
まだ商品・サービスの存在を知らない見込み顧客をターゲットに情報を届け、興味を持ってもらうための動画です。3分以内など、パッとすぐわかる見やすい動画がおすすめです。
動画をたくさん制作し、You Tubeなどにアップすると、SEO対策となり検索上位に表示される可能性が高まります。するとアクセスが集まり、認知度も上がります。
コンバージョン獲得動画
集客動画で集めた見込み顧客から、資料請求や見積もりの申し込みをうながし、購入につなげる動画です。ランディングページや自社サイトに設置します。
動画視聴~申し込みまでスムーズにするためには、「どういう流れがベストか?」考え、コンバージョン率を計測します。集客よりも具体的な商品説明や、購入することで悩み・問題を解決できることを、顧客に刺さる言葉で伝えることが重要です。
ブランディング・イメージアップ動画
企業の信頼性を高め、活動のPRや人材採用に活かす動画です。商品の開発秘話や社風・スタッフの紹介、企業理念などの内容を、ていねいに作り上げます。
動画制作・マーケティングのポイント
動画制作やマーケティングの効果を上げるには、次のような点が重要です。
「最初の5秒」が重要
動画は、はじめの5秒でユーザーをどう引き込むかが大事です。特に、5秒後にスキップできるYouTubeのインストリーム広告などでは、最初がポイントになります。
商品の特徴やメリットを5秒で伝える、続きが見たいと思わせる内容にするなどの方法があります。
ターゲットに合ったタイプの動画を配信する
ターゲットへアプローチするには、どの配信方法がベストか?検討します。動画コンテンツor広告のどちらにするか決定し、どの広告出稿を利用するか決定します。
Twitter・FacebookといったSNS活用など、様々な拡散方法も視野に入れることが可能です。
大手企業と中小企業で成功パターンは異なる
元々知名度があり、資金も豊富な大企業と、知名度・予算ともに少ない中小企業では、動画マーケティングが成功するパターンが異なります。
低コストでうまく動画を活用している事例もあり、中小企業も工夫しだいで成功する可能性を秘めています。
動画マーケティングの成功事例
成功事例の共通点として、ユーザー視点で役立つ・興味を持つものを作りながら、自社のブランディングも行っている点があります。2つの事例を紹介します。
ヘアケア商品のハウツー動画(L’OREAL)
ヘアケア商品の使い方動画をアップすることで、商品の良さをユーザーに伝えた例です。高価格商品のため使い方の説明が必要なことから、それまでは店頭販売がメインでした。
そこで、実際に店舗で説明されているように丁寧に解説する動画を制作し、オンラインでの売上を伸ばすことに成功しています。
カタログギフトのマナー劇場(リンベル)
贈り物をするときのマナーを、かわいいマンガの動画で解説しています。マンガやイラストの動画は、実写よりも低コストで制作できます。わかりやすさ・スムーズなテンポの良さが重要です。
まとめ
- 動画では誰が見てもわかるように伝えられる
- 購入意欲をかきたてやすい
- ブランディング効果もある
- 良質な動画を制作し、配信は迷惑がられない程度にする必要がある
動画マーケティングについて解説しました。動画マーケティング技術は成長し続けていて、広告市場での影響力は年々強まっています。
多くの企業が動画マーケティングに参入する中で、よくあるコマーシャル動画だけでなく、様々な方向からアプローチする動画が注目されています。「ターゲットの興味をひくにはどうしたらいいか?」常にユーザー視点で考え、他の人にシェアしたくなる動画制作が重要です。
今後さらに動画広告市場が広がっていくと予想される中、今からの動画広告進出は遅くはありません。バラエティ豊かなユーチューバーの登場やドローンを使った撮影など、新技術の登場も期待される動画マーケティングでは、さらなる進化が期待できます。