CMSの種類|それぞれの特徴・機能を解説

Webサイト制作

最近は個人、企業ともにサイトを構築する際にCMSを利用するのが当たり前のようになってきました。

CMSといえばWordPressを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、CMSは国内外に数多くのサービスがあり、当然のことながらそれぞれ種類や特徴、必要コストなどが異なります。

では、どのような種類や特徴があるのか、また利用を検討する際の選び方について解説していきます。

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CMSの種類

CMSは大きく分けると「オープンソース」と「独自開発」の2種類に分類されます。それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説していきます。

オープンソース型

オープンソースとは、ソースコードを一般に公開しており、誰でも自由に利用・改変・再配布できるソフトウェアのことです。このようなタイプのCMSは無償で利用できる点が大きな特徴です。

また、さまざまなデザインのテンプレートや拡張機能が公開されているため、カスタマイズも比較的容易におこなえます。自由度も高いことから、利用者数も世界規模で非常に多いです。

インターネット上におけるWebページのおよそ37%は、オープンソース型CMSの「WordPress」で構築されているといわれています。

メリット
  • 無料のため低コストで利用できる
  • 利用方法やカスタマイズに関しての情報が検索ですぐに見つかる
  • プラグインが充実しており、多彩なカスタマイズをおこなえる
  • 開発会社の開発終了や倒産などの影響で使用不能にならない
デメリット
  • ソースコードが公開されているため、セキュリティ面で狙われやすい
  • ベンダーによるサポートがなく、ある程度の知識が必要になる
  • CMSによっては日本語のドキュメントが少ないことがある

独自開発型

Web制作会社などのベンダー企業が一社ごとにカスタマイズして開発したCMSツールを独自開発型といいます。多くの場合が有料です。

独自開発型のなかでも、さらに「オンプレミス」と「クラウド」の2種類に分類できます。これらの特徴についてご紹介します。

オンプレミス型

データベースなどのサーバーやネットワークなどを自社で管理、運営するタイプです。

メリット
  • その企業に合わせて開発をおこなうため、必要な機能が揃っている
  • 導入から運用保守までベンダーの手厚いサポートを受けられる
  • セキュリティも考慮して設計されるため、安全性が高い
デメリット
  • ゼロから開発をおこなうため導入コストが膨大になるケースが多い
  • 要件定義から設計、開発まで要望が複雑なほど構築に時間を要する

クラウド型

クラウド事業者がCMSのサーバーを管理するタイプです。インターネット環境とブラウザさえあれば利用でき、インストールの必要がありません。

メリット
  • 別途サーバーの契約をおこなう必要がない
  • サーバーやソフトウェアの設定が必要なく、導入費用を抑えてスピーディーに構築ができる
  • テンプレートを選ぶだけでカンタンに一定の機能を有するサイトが完成する
  • システムのバージョンアップやセキュリティ対策はベンダーに任せられる
デメリット
  • 月額制のサービスが多く、ランニングコストが高くなりがち
  • CMSのシステムやサーバーにトラブルが発生してもユーザー側で対処できない
  • 用意されたパッケージ内でのカスタマイズが前提で、機能が固定されていて自由度が低め

おもなCMSのサービス12選

CMSには無料のオープンソース型と有料の独自開発型があると解説しました。ここでは、利用者数が多く有名なCMSサービスを無料・有料とに分け、それぞれの特徴をご紹介します。

無料

まず、無料で利用できるオープンソース型のCMSをご紹介していきます。

WordPress

WordPress

URL:https://ja.wordpress.com/


世界的にシェアの高い、オープンソースCMSの代表格です。システムの利用は無料で、さまざまなレイアウトのテンプレート・プラグインが充実しており、カスタマイズの自由度は非常に高いです。

システムやカスタマイズに関する疑問が生じても、利用者が多いため解説記事も見つかりやすく、問題を解決しやすい点も特徴といえます。

サイト更新や記事投稿も、ボタンひとつで見出しや装飾をつけることができ、HTMLやCSS、プログラミングの高度な知識がなくても使いやすくなっています。

Joomla!

Joomla

URL:https://www.joomla.org/


世界シェア第2位といわれるオープンソースCMSです。デザイン性やカスタマイズ性の面ではWordPress以上といわれており、中・大規模のサイト制作にも適しています。

PHPの知識がなくてもエクステンションという拡張機能を利用することで、WordPressよりさらにカンタンにサイトの機能を充実させることができます。

ログイン会員向けメニューとページを作成することもでき、有料のエクステンションを追加することで会員向けSNS機能なども付加できるため、このようなサイトの構築を検討している法人に最適です。

Drupal

Drupal

URL:https://www.drupal.org/


「モジュール」と呼ばれる単位により機能が管理されており、カスタマイズ性が非常に高いオープンソース型CMSです。こちらもシステム利用料は無料です。

コアモジュール(基本機能)だけでもブログやアンケートなどサイトとしての機能のほか、コンテンツ管理や会員機能などのユーザー管理、アクセス統計などさまざまな機能が充実しています。

ここへさらに拡張モジュールを導入することもでき、SEO対策用の機能を付加したり、SNS連携、お問い合わせフォームの構築をしたり、拡張性が高くなっています。

WIX

WIX

URL:https://ja.wix.com/


500以上のテンプレートから好きなものを選び、「Wixエディタ」と呼ばれる編集画面で、画像や文章などをドラッグ&ドロップで自由に配置できます。基本利用料は無料です。

また「Wix ADI」という機能では、いくつかのカンタンな質問に回答するだけでADI(人工デザイン知能)が最適なサイトを構築してくれます。

このように、コーディングなど難しい操作をせず、感覚的にサイト編集をおこなえるのが大きな魅力です。

Jimdo

Jimdo

URL:https://www.jimdo.com/jp/


基本利用料が無料で、WIXと同様にコーディングなどが必要なく、好みのスタイルを選び、オリジナルの画像や文章を設定するだけでカンタンにサイトを構築できます。

こちらも「ジンドゥー AI ビルダー」という機能があり、いくつかの質問に回答するだけで、たった3分で自動的にホームページを生成してくれます。

コーディング機能もあるため、知識がある方であればさらにオリジナルのカスタマイズを加えたサイトに仕上げることも可能です。

umbraco

umbraco

URL:https://umbraco.com/


デンマークで開発されたオープンソースCMSです。日本での知名度はやや低めですが、ヨーロッパを中心に人気があります。

デザインの自由度、拡張性の高さだけでなく、動作が軽いという部分も特徴です。小規模なサイトからマイクロソフト社ASP.NETやWired.co.ukなど、大規模なサイトでも使われています。

有料

つづいて、有料であるもののさまざまなサービスやオプションが利用できる、オンプレミス・クラウドのCMSをご紹介します。

Movable Type

Movable Type

URL:https://www.sixapart.jp/movabletype/


国産CMSの大手です。オンプレミス型、クラウド型を選ぶことができるなど、プランの選択肢が豊富にあります。無料トライアルを実施しているため、試用することも可能です。

HTMLに似た独自のテンプレートタグにより、プログラミングの知識がなくサイトの編集がおこなえます。また、投稿画面も編集できるため、投稿するユーザーに合わせた設計に作り変えることもできます。

構築後のバージョンアップやサーバー管理などはシステム側に任せることができ、メンテンスコストが掛からないという点も魅力です。

PowerCMS

PowerCMS

URL:https://www.powercms.jp/


Movable Typeへさらに機能を追加し、より高度な商用CMSとして開発されたものです。「CMS への不満を解消」を謳っており、オリジナル管理画面の作成やメニューのカスタマイズもおこなえます。

また、安価でありながら高い拡張性を有する点も魅力です。使途に合わせてコースを選べるほか、必要に応じてオプションを追加できるため、自社に最適なプランを設計でき、ムダなコストが掛かりません。

Movable Typeと同様に独自のテンプレートタグを使って編集をおこないますが、導入が少々わかりにくく、カスタマイズやトラブル解決の情報がやや見つかりにくいという部分が難点です。

Blue Monkey

Blue Monkey

URL:https://bluemonkey.jp/


導入実績1,600社以上の法人向け国産CMSです。ほかのCMSにも見られるような、知識がなくても感覚的に操作しやすいシンプルな管理画面で、複数人での管理・運用もおこなえます。

SEO対策に最適な機能も標準対応、セキュリティ面でも運営元が責任をもって定期的なバージョンアップとメンテナンスを実施、法人サイトに求められる水準のセキュリティ機能を、常時提供しています。

お問い合わせフォームもコンバージョン後のリンク先設定、サンクスメールの文章設定など、企業サイトとしてあるとうれしい機能が揃っているのが特徴です。

SITE MANAGE

SITE MANAGE

URL:https://www.sitemanage.jp/


オンプレミス専用CMSパッケージで、有名大手企業を含め500以上の導入実績があります。このCMSも編集画面がわかりやすく、見出しの設定や装飾をボタンひとつでおこなえるのが特徴です。

通常のブログ投稿やSNS連携、フォーム設置はもちろん、セキュリティ対策にも注力しており、サイバー攻撃対策や不正アクセス対策は標準装備されています。

このほか、複数サイトをひとつのシステムで一元管理する機能やアクセス解析、入力スタッフに合わせた言語対応など、便利な機能が充実しています。

RCMS

RCMS

URL:https://www.r-cms.jp/


国産CMSで、中小企業~上場企業の現在3,000社以上に導入されています。Movable Typeと同様にインストール型かクラウド型(SaaS)か選択できます。

250以上の標準機能と高い拡張性があり、コーポレートサイトはもちろん、会員制サイト、EC、メディア、イントラサイトなど小規模から大規模まであらゆるサイトに適しています。

時SSL対応や自動アップデート機能、パスワード暗号化などセキュリティ面での対策やサポート体制も充実しているのが特徴です。

NOREN

NOREN

URL:https://noren.ashisuto.co.jp/


国内トップクラスの導入実績をもつCMSです。「低予算・少人数でのスタート」や「全員参加型のWebサイト運営」など希望する要件や予算に合わせてプランを選ぶことができます。

基本構造は静的CMSですが、リアルタイムパブリッシュ機能もあり、リアルタイムに情報を更新したいコンテンツも作成できます。同一ページ内で静的・動的コンテンツを組み合わせることも可能です。

利用者主体のNORENユーザ会と呼ばれるものもあり、課題の解決や情報交換をおこなうことができるイベントも開催されています。

最適なCMSの選び方

CMSの利用を考えるとき、求めている機能や状況によって最適なものが変わってきます。どのような点で比較・検討すべきなのか、選び方のコツをご紹介します。

利用料金

オープンソースのCMSは無料という部分が大きな魅力です。有料CMSだと、月額費用が発生するもの、開発に大きなコストが掛かる代わりにランニングコストを抑えられるものとあります。

セキュリティ面やデザイン・機能の自由度など、以下で紹介している要素を総合的に比較し、無料CMSでよいか、有料CMSにするならオンプレミス、クラウドどちらがよいか、という部分を決めるとよいでしょう。

利用できる機能

サイトを構築するにあたり、まず以下の2点について考えることが重要です。

  • どのような機能のあるサイトを構築したいか
  • 上記を実現させるためにはCMSにどのような機能が必要となるのか

これを基に、どのCMSであれば要件を実現させられるのか、機能を比較してみてください。

セキュリティ対策

オープンソースCMSはソースコードが公開されているため脆弱性を狙われやすく、定期的なバージョンの更新や各種設定に気を配るなど、とくに強固なセキュリティ対策が求められます。

このような対策が可能な、セキュリティの知識をもつエンジニアなどが対応できる状態であればよいですが、そうでなければシステム側がセキュリティ対策をおこなう有料CMSのほうがおすすめです。

デザインの自由度

デザイン性やレイアウトにそこまでこだわらないのであれば、無料でカンタンにサイトを構築できるサービスのどれでもよいといえるでしょう。

しかし、自社の特色を出したい、スタイリッシュな見た目のサイトにしたい、というのであれば、カスタマイズ性能が高く、プラグインなど拡張機能を利用できるものを選ぶことをおすすめします。

サイトの規模

CMSによって最適なサイトの規模が異なります。小規模のサイトであればどれを使ってもよいですが、大規模となるとアクセス数やデータ通信量が大きくなりがちで、サーバーに負担がかかります。

これらの要素がサイトの表示スピードにも関わってくるうえ、さらにSEOにも影響するため、利用を検討しているCMSがどのくらいの規模のサイトに向いているかを確認してください。

導入実績

前述しましたが、利用者数の多いCMSであるほど、システムやカスタマイズに関する疑問やトラブルを解決する情報がカンタンに見つかりやすく、対処しやすいです。

また、利用者が多いということは使いやすく機能が充実しているという証でもあります。導入実績の多さをひとつの参考に選ぶのもよいでしょう。

サポートの有無

オープンソースCMSは基本的にサポートのサービスがなく、マニュアルやインターネット上のフォーラムなどを参考にして、トラブルなどは基本的に自分で対処するものです。

その点、有料CMSであれば提供会社がサポート対応をしてくれるところが多いため、自分で対応することが難しい場合はそちらのほうがおすすめです。

まとめ

CMSの種類や導入実績の多いCMSの特徴、また選び方について解説しました。種類に関しておさらいすると以下のようになります。

 オープンソースオンプレミスクラウド
コスト無料~安価やや高額やや安価
セキュリティ△(自力で対策必須)
カスタマイズ性
最適なサイト規模小~中(大も可)小~中
サポート

CMSを選ぶときはご紹介した選び方を参考に、まずトライアルを利用したり、使い方セミナー動画などを見たりして、自社に最適なものはどれか比較してみるとよいでしょう。