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レピュテーションリスクとは?事例・原因・回避する取組みについて解説

レピュテーションとは「評判」を意味する言葉です。企業が経営をおこなうなかで、製品・サービスの品質不正や社員の不祥事などが発生すると、新聞やニュースなどで報道されることになります。

近年はソーシャルメディアの普及により、マイナスの情報はまたたく間に世間で拡散されます。これによりレピュテーションが大きく低下すれば、業績悪化や倒産など最悪の事態に陥る可能性もあります。

では、レピュテーションリスクとは具体的にどのようなリスクなのか、また事例やリスクを回避する方法なども詳しく解説していきます。

レピュテーションリスクとは

レピュテーションは日本語で「評判」です。そのため、レピュテーションリスクは「評判が落ちる危険」という意味になります。

企業が不正や不祥事を起こし、これが報道されるなどすれば、評判が落ちることとなります。この状態がレピュテーションリスクの顕在化といえます。

おもに2010年代の後半あたりから情報セキュリティや風評被害対策サービスを提供する企業が使いはじめた言葉で、徐々に認知度が広がっています。

レピュテーションリスクが注目される背景

近年、とくにレピュテーションリスクが注目されるようになった背景としては、企業の価値を評価する視点が多様化したことが挙げられます。

かつて企業は財政面での価値ばかりが重視されましたが、90年代後半あたりから企業ブランドや組織の人材、知的資産など無形の資産価値が注目されるようになりました。

レピュテーションリスクの管理もまた、企業として実施していることをアピールすれば、危機管理能力の高い企業として評価され、また風評被害の予防にもなります。

このようなことから、レピュテーションリスクに備える企業が増えてきているのです。

レピュテーションリスクの事例

では、レピュテーションリスクが顕在化した事例にはどのようなものがあるのでしょうか。3つのケースをご紹介します。

事例1:従業員が不祥事を起こす

アルバイトの従業員が飲食店内の食材や備品で遊ぶなどをSNSで発信して炎上する「バイトテロ」なるものが取り上げられましたが、このほかに従業員が起こすケースもあります。

たとえば、大手不動産会社の従業員が「芸能人が部屋を借りに来たこと」「どのようなマンションを希望しているのか」などツイートし、大問題に発展しました。

従業員一人のこのような行動により、大きな信用失墜に至ってしまうこともあります。

事例2:劣悪な労働環境

残業時間が労働基準法を違反していたり、休暇が取れなかったりするなど、企業の労働環境が劣悪である場合、それが暴露されることで信用失墜につながります。

たとえば、月100時間以上もの残業により過労自殺に追い込まれた広告代理店の従業員のケースや、月に140時間以上もの残業が原因で適応障害を発症、自殺した飲食店従業員のケースが有名です。

さらに当該企業は「労務管理ができていなかった認識はない」と発表したことで、さらなる批判を受けました。労働環境や、事件発生してしまったあとの対応の悪さもリスクとなりえます。

事例3:不正の隠ぺい

飲食業界でいえば食材や産地の偽装、建設業界で言えば違法建築など、不正を隠蔽していたことが明るみになったことで信用を失墜するケースです。

最近では大手不動産・賃貸業者が大量の違法建築をおこなっており、また地主を騙して不当な契約解除などもしていた事実が判明しました。会社ぐるみで隠蔽していたとされています。

テレビで違法建築の問題として報道されたことで明るみとなり、2019年3月期の決算では赤字が690億円という額に拡大しました。

レピュテーションリスクの発生原因

レピュテーションリスクが生じるにはどのような原因が考えられるのかを解説していきます。

内部告発

企業として不正をおこなっていてそれを隠蔽している、また企業の実態を従業員が告発することで、世間の目にさらされるケースです。

前述のように食品偽装や違法建築、また劣悪な労働環境であることなどがマスコミに通じ、公になれば会社の信用が失墜しかねません。

企業による情報発信

自社や商品・サービスに関して情報を発信する際、正確な情報を伝達しようとしつつも、よく見せたいために誇大広告を出してしまうケースがあるでしょう。

この場合、消費者の期待値が想像以上に高まってしまい、企業や商品・サービスの実情を目にしたときに幻滅させてしまうケースです。

メディアでの情報伝達

ネットなどで企業に対する不満などが拡大していくと、マスコミがそれをニュースとして取り上げ、さらに多くの人に知れ渡ることで、企業の信用が失墜するケースです。

企業として不正などしておらず、後ろめたいことがない場合でも、世間の勘違いや拡大解釈などで悪評が広まり、メディアを通じて悪評が広まることもあります。

消費者の口コミ

たとえば店員の対応が悪かった、店内の清潔感がない、品揃えが悪い・・・などと消費者がマイナスの印象を受けた場合、この不満が拡散されることもリスクとなります。

最近はSNSや口コミサイトを通じて不満の口コミを投稿する人も増えており、またそれを参考に店選びをする人も多いので、口伝えのウワサ程度では済まなくなってきています。

退職した社員による口コミや誹謗中傷

退職した社員が、企業への不満を持ってSNSや口コミサイトに誹謗中傷をおこなうことで、世間的な信用が低下してしまう場合もあります。

たとえ事実ではない場合でも、「こんなことをされた」「こんな上司がいた」など投稿者視点で具体的な内容が投稿されると、信じられやすく拡散されてしまる可能性もあるでしょう。

レピュテーションリスクを回避する取り組み

では、レピュテーションリスクを回避するにはどのような対策を実施すればよいのか、解説していきます。

積極的な情報発信

内部事情の発覚での評判悪化や、誤解による風評被害などのリスクを回避するには、積極的に情報開示や企業の考えを、またポジティブな情報を発信し続けることが重要です。

積極的に情報開示をしている企業であれば企業イメージも向上し、誤解されにくくなる効果にも期待できます。

また、企業に関するネガティブな情報が多く発信されていると、事実を知らない場合でも悪い印象を抱かれる場合があります。そのため、ポジティブな情報も積極的に発信していくことが重要です。

従業員教育

前述のように従業員が顧客の情報をSNSなどで発信し、企業の信用が低下するケースもあります。これは、従業員の意識の低さ、ネットリテラシーの不足が原因です。

これを防ぐためには従業員に対し定期的に教育をおこない、SNSなどに業務上の機密を載せてはならないこと、また万が一の場合の処罰や責任の所在を規定として盛り込む必要があります。

企業・人物調査

探偵による結婚調査(婚約者の生い立ち、過去や現在において問題がないか調べるもの)と同様に、企業も取引先や従業員、新規雇用を検討している人物に対し、調査をおこなうサービスもあります。

このようなサービスを利用し、たとえば過去に不祥事を起こしていないか、コンプライアンス違反をしているなどないか、などを調査してリスク管理することもできます。

ネット監視

ネット上で自社の悪評、誹謗中傷が投稿されていないかをチェックする「ネット監視」と呼ばれるサービスを提供する企業もあります。

これを利用すれば、誹謗中傷が投稿されてもいち早く対処し被害を最小限に抑えられるほか、投稿者との訴訟問題となったときに証拠として投稿内容などを記録してもらうことも可能です。

人の噂は七十五日といいますが、ネット上では一度広まった情報はカンタンに消えることがなく、拡散され増え続けてしまうことも少なくありません。

このようなネット上のレピュテーションリスクに備えた対策として、利用する企業も増えてきているようです。

まとめ

レピュテーションリスクをゼロにすることは難しいですが、正しく把握しておくことは必要です。

信用低下を防ぐためには、日ごろからこれらを実践し、また企業として運営上の問題がないかも適宜見直していくことも重要といえるでしょう。

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