Googleの口コミ投稿者を特定する方法!対応が難しい場合の相談先
Googleの口コミは日本を含めた世界各国、数多くのユーザーが閲覧しており、自社や店舗に関する悪い口コミを投稿されると、集客や売上に影響を及ぼしかねません。
このような場合に、口コミの投稿者を特定すれば、本人に直接投稿の削除を請求したり、風評被害の投稿であれば訴訟を起こしたりすることもできます。
今回は、Googleの口コミ投稿者を特定する方法と対応が難しい場合の相談先について解説します。
Googleの口コミ投稿者を特定する方法
Googleの口コミ投稿者を特定するには、まずGoogleにIPアドレスの情報開示を請求し、さらにプロバイダに契約者情報の開示を請求するという2ステップが必要です。
それぞれどのようにおこなうのか、解説します。
Step1. Googleへの情報開示請求
まず、サービスの提供元であるアメリカのGoogle本社に、投稿者のIPアドレスの情報開示請求をおこないます。請求が受理されればIPアドレスを情報開示してもらえます。
しかし、Googleも個人情報の守秘義務があるため、任意で開示に応じる可能性は低いです。請求を拒否された場合、裁判所の仮処分による開示請求が必要になります。
IPアドレスとは、パソコンやスマホなどインターネットに接続する端末に割り当てられる個別番号です。これにより、どのインターネットプロバイダを利用して投稿されたかが分かります。
IPアドレスだけでは本人の特定までできないため、つづいてプロバイダ側にそのアドレスを利用する契約者の情報開示を請求する必要があります。
なお、IPアドレスをはじめとする投稿者に関する情報の保存期間は、多くの場合が3ヶ月程度です。早めに開示請求しないと特定が困難になるため注意してください。
Step2. プロバイダへの情報開示請求
判明したIPアドレスは、「Whois情報検索」など無料でIPアドレスの情報を検索できるサービスを利用して、投稿者が利用していたプロバイダを調べます。
プロバイダが特定できたら、そのプロバイダに対象のIPアドレス情報を提示し、そのアドレスを利用する契約者の情報(氏名、住所、電話番号など)の開示を請求します。
プロバイダはこのような請求があると、口コミを投稿した契約者に対して、情報開示に応じてもよいか意見紹介書で確認をとります。
しかし、大抵は本人がこれを拒否するため、訴訟手続き(発信者情報開示請求訴訟)が必要になるケースが大半です。
訴訟となった場合、勝訴すれば情報開示を受けられますが、契約者情報の調査に時間がかかるようであれば、ログ情報が消去されないよう発信者情報消去禁止の仮処分を申し立てるケースもあります。
アメリカのディスカバリー制度の利用
Googleに対しては「ディスカバリー制度」の利用が可能です。ディスカバリー制度とは、裁判所を通じて相手の有する情報や証拠の開示を求める、アメリカ独自の証拠収集手続きです。
Google本社のあるカリフォルニア州の裁判所で手続きをおこない、投稿者の情報開示を請求します。
ディスカバリー制度は日本からでも利用でき、日本の弁護士に「口コミが違法である」という旨の書類作成と、アメリカの弁護士への送付を依頼してください。
この制度を利用しない場合は、上記のように2ステップの開示請求が必要で、本人の特定には約6〜8ヶ月と長期に及ぶ場合があります。
しかし、ディスカバリー制度ではGoogle本社に対する1回の開示請求で本人が特定できるため、約1〜2ヶ月と比較的早期に問題を解決できます。
Googleが禁止・制限している口コミ
Googleでは「マップユーザーの投稿に関するポリシー」を定めており、このポリシーでは以下の内容を「禁止および制限されているコンテンツ」として削除の対象にしています。
- スパムと虚偽のコンテンツ
- 実体験に基づかない内容の投稿、報酬や無料でサービスや商品の提供を受けるサクラ投稿やそれを促す行為も、スパムや虚偽コンテンツとして禁止されています。
- 関連性のないコンテンツ
- 企業や店舗の口コミとは関係のない、別店舗の口コミや嫌がらせ、個人的な主張などを投稿した場合はこれにあたります。
- 危険なコンテンツおよび中傷的なコンテンツ
- 店員や店舗に危害を加えるといった、攻撃的な内容や差別的な内容は危険なコンテンツとみなされます。
- 不適切なコンテンツ・露骨な性的表現を含むコンテンツ
- 侮辱などの不適切な表現やわいせつな表現、画像などを含むコンテンツもポリシー違反です。
- なりすまし
- 特定の個人や組織など権限のある者であると騙ったり、芸能人であるなど他者になりすまして投稿する行為も禁止されています。
- 利害に関する問題
- 自分の所属する企業や店舗への投稿や、競合他社が相手の評判を下げる目的で投稿したコンテンツがこれにあたります。
投稿された口コミがこのいずれかに当てはまる場合、Googleに通報をおこなうことで削除してもらえる可能性があります。
個人での対応が難しい場合の相談先
前述のように、Google本社への情報開示の請求は個人でもおこなえますが、請求に応じてもらえる可能性は低いといわれています。
そのため、個人での対応が難しい場合は、弁護士や風評被害に関する専門業者といった専門家に相談するのが確実かつスピーディです。
弁護士に相談する
弁護士は法律の専門家であるため、情報開示の請求に関しても法的に説得力のある理由を提示して申請してもらえるほか、裁判所の仮処分により確実に開示請求が可能です。
また、弁護士であればディスカバリー制度での情報開示申請も利用できるため、この方法であればさらに早期に問題が解決できるでしょう。
ただし、弁護士によってITの知識に明るくない場合もあるため、実際に話を聞いてGoogleの口コミについて知識があるか、対応事例があるか確認することをおすすめします。
専門業者に相談する
Googleの口コミをはじめ、インターネット上で風評被害を受けた場合の対処を代行する、風評対策の専門業者というものもあります。
専門業者に相談すれば、悪い口コミに対するフォローやイメージアップなどのノウハウがあり、弁護士に依頼するよりもリーズナブルに問題を解決できる可能性があります。
ただし、口コミの削除依頼を代行したり、投稿者を特定したりはできないため、弁護士を利用するのはハードルが高いという場合に適しています。
まとめ
Googleの口コミ投稿者を特定するには、次のような方法があると解説いたしました。
- GoogleにIPアドレスの開示請求→プロバイダに契約者の情報開示を請求
- 弁護士経由でディスカバリー制度を利用し、Google本社に開示請求
前述のように、個人で請求することもできますが、請求に応じてもらえる可能性は低く、また6~8ヶ月と解決に時間がかかってしまいがちです。
投稿者の情報を確実に開示してもらいたい、早期に解決したい場合は、ディスカバリー制度の利用や専門業者への依頼をおこなったほうがよいでしょう。